よかった小説の話をする 平家さんと兎の首事件/石川博品
平家さんと兎の首事件/石川博品
https://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B019XJYUXQ
事件とタイトルにつくがミステリが主軸ではない。主人公の居場所の話がメインっぽい。最後の充電コードを見つけられた描写がそれを暗示している。
そこにつなげるために、負けたあとも人生は続くし死んだあとも世界は移ろいでゆく、という話も盛り込んでいた。無常というやつだ。
兄妹の描かれ方が非常によかった。個人的な話だが、家族愛というひっくるめた言い方には嘘くささを感じる。個々人が家族に対してどういう心情を抱きどういう態度をとるのかの集積がかろうじてそうと呼べるだろうと思っている。この作品は兄の側のそれらがよく書かれていた。
表紙絵に一本釣りされるように買ったが平家さんが萌え萌えで非常に良かった。兄妹に対しても萌えを感じる体質なので非常に満足。ヒロイン二人がふとましいの、欲張りで好感がもてる。